やってもやらなくても同じならやりません!【学習性無力感】

心理学

やる気の源「動機づけ」については別の記事で触れました。

ですが、逆にやる気が無くなってしまうパターンもあります。

学習性無力感

こんな実験があります。

2つの檻を用意して、それぞれに犬を入れます。
(Aの檻とBの檻とします)

檻の中にいる犬に電気ショックを何回も与えます。

Aの檻には安全地帯が有り、そこに移動すれば電気ショックから逃れることが可能です。

Bの檻には安全地帯は無く、何をしても電気ショックから逃れることは出来ません。



さて、AとBの檻それぞれに入っている犬の行動には、どのような差が生まれたでしょうか。



Aの檻(安全地帯有り)の犬は、回数を増すごとに「安全地帯へ逃げる」のが早くなりました。

「安全地帯へ行けば、電気ショックを受けなくて済む!」ということを学習した(覚えた)ので、電気が流れた瞬間に安全地帯へ移動しようとするようになりました。





一方、Bの檻(安全地帯無し)の犬は、回数を増すごとに「電気ショックから逃れよう」という行動を取らなくなってしまいました。

「何をしても電気ショックは無くならないんだ」ということを学習した(覚えた)ので、電気が流れても身動きを取ろうとしなくなりました。





このことから何が言えるかというと、

自分が行動を起こしても状況が改善しないのであれば何もしようとしなくなる

ということです。


例えば、やる気のある新入社員が様々な意見を言っても、ことごとく却下になり何一つとして採用されないことがずっと続くと、最終的に意見を出すことはなくなります。

意見を言っても無駄なので意見は言わない」という社員の出来上がりです。




ところで、上記の実験には続きがあります。

Bの檻にいる犬が回避行動を取らなくなった後に、安全地帯を設置しました。


するとどうなるかというと・・・どうもなりませんでした。


一度「やっても無駄」だと覚えてしまうと、自分の行動次第で状況が改善する環境へと変化しても、改善のための行動を取らなくなってしますのです。


「意見を言わない社員」は人事異動で、若い意見を取り入れる新しい上司がやってきても、意見は言うようにはなりません。


これが【学習性無力感】です。




もしあなたが上司の立場で、相手のやる気(行動力)を無くさないように気を付けたいのであれば、相手が行動を起こした際に、何か結果に影響を与えるように配慮してあげることが望ましいでしょう。


新入社員が他愛もない意見を出した時に、頭ごなしに否定をするのではなく、「そういう考え方もあるな。でも、他にも何か思いつかないかな?」などと、一度受け止めてあげた上で他の思考を促したりすれば、「まったく意見を言わなくなる」というようなことにはなりにくいでしょう。

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