人がやる気を起こす時には、大きく分けて二つの要因があります。
今回はそんな行動力の源である『やる気』についてのお話です。
二つのやる気
人が何か行動を起こす時には「アレがしたい」「コレがしたい」という思いが先にあって、初めて行動に移すと思います。
ではその「やろう!」と思う原因はなんでしょうか。
人が行動を起こすきっかけには、大きく2つのパターンが存在します。
内発的動機づけ
この『内発的動機づけ』というのは、行動を起こすきっかけが自分自身の中にあるパターンです。
例えば、貴方が好きな芸能人を思い浮かべてください。
その芸能人が出ているTV番組がやっていたら、自然と見てしまいませんか?
その芸能人が出ているTV番組が見たいから、そのTV番組を見る。
「その行動」自体が目的であり、他の何かのために「その行動」を行っているわけではありません。
他にも、
・「絵を描くのが好き」だから「絵を描く」
・「星が好き」だから「天体観測をする」
・「算数が好き」だから「算数の勉強をする」
などなど。
何かに強制されたからやっているのではなく、「その行動」が「好きだから」「楽しいから」「面白いから」やりたくなる、といったものです。
これが『内発的動機づけ』です。
では、もう1つのパターンはどういうものでしょうか。
外発的動機付け
この『外発的動機づけ』というのは、行動を起こすきっかけが自分自身の外にあるパターンです。
例えば、貴方が嫌いな芸能人を思い浮かべてください。
その芸能人が出ているTV番組がやっていても、見たくありませんよね?
ですが「その芸能人のTV番組を見たら100万円差し上げます!」と言われたらどうですか?
(詐欺っぽいので見ませんってのは無しで(笑) 見たら確実に100万円もらえることが信用できる状況での話です)
きっと大半の人は、嫌いな芸能人の番組を見ることになると思います。
その番組を見たいわけではないが、100万円が欲しいからTV番組をみる。
「その行動」自体には特に興味はありませんが、他の何かのために「その行動」を行う。
他にも、
・「絵は好きじゃない」けど「絵を描いたらお菓子が貰える」から「絵を描く」
・「星は好きじゃない」けど「好きな子に誘われた」から「天体観測へ行く」
・「算数なんか大嫌い」だけど「勉強するとお小遣いが貰える」から「算数の勉強をする」
などなど。
「その行動」以外に本来の目的があり、その目的を達成するための手段として「その行動」を行う、といったもので、これが『外発的動機づけ』です。
内発と外発 どっちがいいの?
『内発的動機づけ』も『外発的動機づけ』も行動を起こすきっかけの違いに過ぎないので、特にどちらが良いとか悪いとかというものではありません。
例えば「子どもに宿題をやらせたい」という親目線からすると、子どもがその科目が好きだから自発的に宿題を行おうが、宿題をやったらオヤツをもらえるから宿題を行おうが、「子どもは宿題をやる」ので結果オーライですよね。
ですが『外発的動機づけ』によって、宿題をやるってなんだか嫌な感じがすると思います。
実はその感覚は正解です。
『外発的動機づけ』によって、相手の行動をコントロールしようとする際には注意しなければいけない点があります。
『外発的動機づけ』の注意点
こんな実験があります。
子どもたちを集めてグループ別に絵を描かせました。
グループA:「上手に描けたらご褒美をあげるよ」と伝え、ご褒美をあげる
グループB:何も伝えず、ご褒美もなし
数日後、また子供たちを集めてグループ別に絵を描かせました。
しかし今度は、グループAの子たちにも何も伝えませんし、ご褒美もありませんでした。
数日後に絵を描かせた時に、グループAとグループBの子どもにはどのような変化があったでしょうか?
なんとなく想像がつきますよね?
そうです、グループAの子どもたちは初回に比べて明らかに絵を描かなくなったのです。
一定の行動に対して報酬を与えると、その行動がもともと内発きっかけだろうと外発きっかけだろうど、報酬を無くした途端にその行動のやる気が無くなってしまうのです。
つまりは、子どもに宿題をやらせる時に「お菓子」で釣ろうが「お小遣い」で釣ろうが、外発的なきっかけを与えてしまうと、その報酬を無くしてしまった時に宿題をやらなくなってします可能性が出てきます。
その後、宿題をやらせるには報酬を与え続けなければいけなくなる可能性があるのです。
もちろん人間の行動のすべてがこの2つのパターンで決定するわけではありませんので、一概にすべてそうなるとは言えませんが、誰かに「〇〇をあげるから●●をして」というような指示を行う際には、気にしておくべき事柄かと思います。
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