相手に何かを教えたり説明したりしていると、
『ものすごく理解が早い人だな…」と感じたり、逆に『全然覚えない人だな…』と感じたりすることはないですか。
実は相手への印象や思い込みが、本当に相手の能力や成長に影響を与えることがあります。
今回はそんな相手への思い込みと成長についての豆知識です。
ピグマリオン効果
こんな実験があります。
ある教師に、
「知能テストをやったら、あの子(Yさん)はすごく勉強が良くできる子だって結果が出たんだよ!」
と伝えました。
しかし、実際にはそんな結果は出ていません。
教師に「Yさんはものすごく優秀だよ!」というウソの情報を与えたのです。
その結果どうなったかというと・・・
なんとYさんは、ほかの子に比べて本当に勉強ができるようになっていったのです!!
本当にYさんはもともと優秀な能力を持っていたのでしょうか?
もしかしたら、そうだったのかも知れませんが、
実は他に大きな要因があったのです。
それは『教師がYさんに大きな期待を寄せていた』ということです。
そんなことで!?と思うかもしれませんが、
この思い込みが非常に大きな役割を果たすことになるのです。
ガラっと話が変わりますが、
皆さんが新しいスマホを買ったとします。
A.
そのスマホは最新機種の超高性能で値段も高価でした。
B.
そのスマホは型落ちの低スペックで値段も安価でした。
この A と B のスマホを使ってネットで動画を見てみると、なんだが画質が悪くてキレイに映りません。
さて、どうしてでしょうか?
と聞かれたときに、おそらく A と B では違う内容が思い浮かんだのではないでしょうか。
例えばAでは「設定が間違っている」「電波が悪いところにいる」などで
一方のBでは「性能が悪いから仕方ない」「どうしても何もそういう機種でしょ」などではありませんでしたか?
この両者の違い、何か気づきましたか?
Aに対しては「正しく使ってやればキレイに映るはずだ」という内容で、
Bに対しては「どうやってもキレイに映ることはない」という内容なのです。
この違いがどこから来るのかというと、
Aは最新で高性能で高かったのだから「きっとキレイに映るはずだ」という期待する気持ちがあり、
Bは型落ちの低スペックの安物だから「どうせキレイに映ることはない」という諦めの気持ちがあるという点です。
Aは「正しく使ってやればちゃんと映るはずだ」と思っているので、きっといろいろ調べたり、設定を変えてみたりして、なんとかキレイに映るように試行錯誤することでしょう。
でもBは「どうやってもキレイに映ることはない」と思っているので、そんなに調べたり触ったりせずに、きっと諦めてしまうことでしょう。
ではここで、教師とYさんの話に戻ります。
教師はYさんが「勉強ができる子」だと思っているわけです。
そんなYさんが、もし授業で理解に戸惑っていたり、テストの点が悪かったりしたら、
教師はどう考えるでしょうか?
きっと「授業の進度が早すぎたかな?」や「教え方が悪かったのかな?」などと考え、
Yさんが理解できるよう、テストで良い点が取れるよう、いろいろと試行錯誤してみるのではないでしょうか。
つまり「期待をしているYさん」について、期待通りの結果を得られない場合には、Yさんのせいにするのではなく、ほかの原因を考えてしまうのです。
その結果、教師はYさんに対する行動や態度が、他の生徒に対する行動や態度とは無意識に変化し、Yさんの成績アップにつながったということです。
こういった現象のことを『ピグマリオン効果』といいます。
もしあなたが、誰かに何かを教えるような立場になった時には、これを思い出してください。
そして「この子は出来ない子」というような決めつけはせずに、全員が優秀な生徒であると考えてください。
成績が上がらなかったり、新しいコトがなかなかうまく出来ないような時は、「この教え方はこの子には合っていないのかな?」などと考え、いろんな方法を試したりしてみてください。
そうすればきっと期待通りの結果が得られるようになるはずです!
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